保土ヶ谷区には、いくつかの緑の空間があり、区民のいこいとリフレッシュの場となっていますが、まだ歴史の浅い「新井町公園」は、その一つであると共に特色ある公園として知られています。
昔はどこにでもあった里山で雑木が生い繁り、放置されていた所が、近隣住民と市緑政局の協力によって生まれ変わりました。湧き水が流れてせせらぎをつくり、下りたところが“とんぼ池”。近所の上菅田小や新井小の児童がつくった看板が微笑ましい。遊歩道に沿って登ると、自然のブナやくぬぎがせん定されて存在感を増しています。
最高地点は住宅地と接していますが、つつじやさつきが丸く刈り込まれて並び、梅の木も所々にあります。この公園で見事なのは、数ヶ所にある竹林、竹は年の若い木ほど良いそうで、竹の子を勝手に掘らぬようにとの子どもたちの呼びかけ文が印象的です。
新井町公園の地は、1974年に産業廃棄物の埋立処分地に指定された時からの歴史があります。驚いた住民がすぐに反対運動に立ち上がり、わずか数ヶ月で計画中止に追い込みました。その後、96年の開園に至るまで20年の歳月が流れましたが、近隣公園の候補地指定から、実際の工事、開園まで、ずっと縁の下で支えて来た住民の力がありました。
今「新井町公園愛護会」は、一人ひとりの自発的な行動で、公園を美しく保つために力を合わせています。朝4時、5時からゴミを拾う人、戸外授業の小学生や幼稚園児たちに、町と公園の歴史を話す人、約束を守らない子どもを諭す人、この人たちは皆、近所の住民です。4年前の開園式には二つの小学校の校長、副校長も参列しました。
公園にはゴミ箱がありません。箱があふれて汚くなるより、ゴミは皆で持ち帰ろうという考えからです。「蛍のとぶ公園」は「ゴミ箱のない公園」でもあります。ここに来ると“住民自治とは何か”を真剣に考えさせてくれます。