「子どもたちの今と未来にやさしい神奈川をめざして」 保育政策提言(案)
日本共産党の、あさか由香党県雇用・子育て相談室長(参議院・神奈川)は6月3日、横浜市内で開かれた「日本共産党と共に未来を開く 保育と子育てのつどい」で、保育政策提言(案)を発表しました。(発表詳細は下記文)
2018年6月3日 日本共産党神奈川県委員会
はじめに
2015年9月25日国連総会全会一致で「持続可能な開発目標」が採択され、そのなかで「2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケアおよび就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。」と明記されました。
しかし全国や神奈川県下では、認可保育所に申し込んでも保育所に入れなかった児童(入所保留児童)は大きくは減っておらず、今年も保育園に落ちたという悲鳴に近い声が寄せられています。2017年度末までの「待機児ゼロ」の目標を2020年度末に先延ばしした安倍政権に全国、県内で厳しい批判が相次いでいます。
また、国による社会保障の切り捨て、「多様な保育」という名による規制緩和の広がりによって、保育条件の後退がおきていることは重大な問題です。
党神奈川県委員会は、2019年の参議院選挙と統一地方選挙に向けて、安心して預けられ「子ども達の今と未来にやさしい神奈川」をめざして以下の提案をおこないます。
1.待機児童解消に向けた取り組みをつよめます
神奈川県が発表した2017年4月の待機児童数は756人でしたが、保留児童数はその12.4倍の9,431人で、申し込むことさえ諦めてしまった人数を考えると、その数はさらに膨れ上がります。ここ数年、県下でも定員を毎年1万人程度増やしているにもかかわらず、保育所へのニーズと希望者数も増えるため保留児童数は大きくは減っておらず、認可保育所が決定的に足りていないことはあきらかです。
県の調査では、2017年度の就学前児童数に対する認可保育所定員数の割合は、全国平均42%に対し神奈川県は33%と9%も低い状況でした。待機児童解消のためには、公立保育所をはじめ認可保育所を増設し、当面、全国平均並みの42%以上まで引き上げます。(例えば、42%にする場合4万人分。100人定員の保育園なら400ヶ所の保育所増設)
・ 自治体の公立保育所建設をすすめ、保育所建設や分園への財政補助等の国の支援制度をつくるなど、国と自治体が先頭に立って公立保育所をつくります。
・ 民間の認可保育所の建設等に対しても、助成の拡大、利子補給などの支援措置を行います。
・ 土地の確保のために国有地・県・市有地・民有地などを無償貸与するなど、積極的に支援します。
2.保育所で働く職員の賃金引上げと処遇改善をすみやかにすすめます
今、どこの保育所でも抱えている問題は保育士不足です。保育士がいなければ子どもを受け入れることはできません。保育士不足の主な原因は、①賃金の低さ ②労働条件の劣悪さです。保育に喜びと誇りを持っていても、命を守り育てる仕事の重さと、保育以外の業務が多く、休憩も十分に取れないことが常態化し、心身の疲労となり、その上に賃金の低さが追い打ちをかけ、保育現場から離れていく保育士が増えています。保育士だけではなく、保育所に働くすべての職員の処遇改善が今すぐ必要です。
・ 保育士不足の解消に向け保育士・職員全体の賃金を底上げし、5年で10万円を引き上げます。緊急に月額5万円引き上げ、さらに全産業平均に近づくよう、毎年1万円ずつ引き上げます。
国は、保育士不足を理由に、配置基準を自治体独自で改善しているところに対し、低い国基準に合わせるよう働きかけています。それではさらに保育士の離職率が増加します。
・ 保育士の配置基準の抜本的改善、看護師の配置と栄養士と調理員、事務職員の配置など、正規職員で雇用できる運営費補助を国・県に求めます。
3、安心して預けられる施設条件、保育条件への改善をすすめます
・ 安心して預けられる保育施設への改善をすすめます。
政府の規制緩和により一部のところで、定員増に加え定員オーバーの詰め込み、園庭のない保育園、給食の外部搬入など保育の質に関わる重大な事態がおきています。子どもの成長発達を優先する立場から、公有地の確保や認可保育園の増設を基本として、これらの問題の解決を計画的にすすめていきます。
・ 無認可保育所が希望すれば認可化のために移行できるようにします。施設整備の負担軽減など、保育条件の改善を図りながら認可をすすめます。
・ 保育料は県・市の保護者負担軽減をすすめながら、国に無償化をもとめます。
おわりに
乳幼児を抱える保護者の人間らしい働き方(朝夕、子どもと一緒に食事ができるなど)の改善を国に要求していきます。
保育は生涯にわたる人間形成の基礎を培うもので、専門的知識と技術を持つ保育士が中心となって子どもの命と発達を保障することが大原則です。日本共産党神奈川県委員会は、公の責任で希望する誰でもが保育所を利用することができるよう保育・子育て政策の充実をめざします。
以 上