先週末から始まった、衆院予算委員会での基本的質疑を聞きました。統計不正問題や、2019年度予算案関連の内政・外交問題が議論になる中で、日本共産党の志位和夫委員長が取り上げたのは、安倍晋三政権が10月から予定している消費税の10%への増税です。
国民が苦しむ消費不況のもとで増税を強行していいのかとの志位氏の真正面からの追及に、首相は言い逃れ以外まともに答えられません。増税の根拠が総破綻すると同時に、暮らしの深刻さを一顧だにしない首相の冷たさが、浮き彫りになりました。
深刻な消費不況のなかで
12年末に安倍首相が政権に復帰し、14年4月に消費税の税率を5%から8%に引き上げてから、消費が落ち込んで、深刻な消費不況が続いています。志位氏が指摘したように、東日本大震災があった11年をボトム(底)に、12年、13年と弱々しくも回復傾向にあった家計の実質消費支出は、14年の消費税増税を契機に大きく落ち込み、増税前の13年に比べ、18年の平均は年額で約25万円も減少しています。政府の発表でも家計消費は5年連続マイナスです。
首相は、家計の「世帯人員が減っている」、「16年以降は持ち直している」などとごまかそうとしました。しかし志位氏に国の経済規模を示す国内総生産(GDP)ベースで見ても、家計の消費支出は増税前に比べ約3兆円も落ち込んでおり、「持ち直し」どころか「水面下に沈んだままだ」と反論されて、認めざるを得ませんでした。
消費のもとになる賃金や所得は「改善」したという首相の主張について、志位氏は厚生労働省の毎月勤労統計や連合の賃上げ調査をもとに、実質賃金は増税前に比べ18年には10万円以上も落ち込んでおり、実質の賃上げ率も今世紀で最悪水準であることを明らかにしました。首相が自慢するGDPの総雇用者所得の伸びも、年金だけでは生活できない高齢者や、高すぎる学費に苦しみアルバイトに追われる学生などが増加した結果だという実態を示すと、首相も閣僚も否定できません。
志位氏はさらに、増税の際に実施するとしているキャッシュレス決済での「ポイント還元」について、自らの東京都北区の十条銀座商店街での調査にもとづき、対応できない商店が出てくることや、カード会社に払う手数料負担が重荷になること、現金がすぐ入らず資金繰りが厳しくなることなどを指摘しました。業界団体の意見書や新聞の世論調査でも、非難ごうごうだと批判しても、安倍首相らは言い訳しかできません。
安倍政治を終わらせる時
首相には、賃金が伸び悩む労働者も、少ない年金でやりくりしている高齢者も、学費が高いためアルバイトに追われる大学生や高校生も、「ポイント還元」を強いられる中小業者も、全く見えていません。生活に苦しむ生きた人間の痛みが分からない首相には、政権担当の資格はありません。志位氏が、大もうけしている富裕層と大企業の優遇税制にメスを入れれば、消費税に頼らなくても増税分の財源は確保できるとの対案を示しても聞こうとしません。
増税に固執する首相は、無責任の極みです。消費税の増税阻止とともに、安倍政治を終わらせるたたかいがいよいよ重要です。(しんぶん赤旗より)