歴史を70年後戻りさせる 衆院本会議 高橋議員が批判
命にかかわる法案を強引に通すのは許せない―。「働き方改革」一括法案の採決が31日の衆院本会議で行われ、傍聴席で過労死遺族らが遺影を抱いて見つめる中、自民党、公明党、維新の会などの賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は法案に厳しく反対。国会前では雇用共同アクションの労働者らが衆院通過に抗議し、参院での廃案を訴えました。
(写真)反対討論する高橋千鶴子議員=31日、衆院本会議
反対討論(要旨)に立った日本共産党の高橋千鶴子議員は、最愛の家族を奪われた過労死遺族が反対していることを示し、「その一点だけでも法案は認められない」と強調。2割も異常値が見つかった労働時間データは、補正後もミスが発覚し、特別条項付き三六協定を結んだ事業場のうち、実際の残業時間が年1000時間超だった事業場は3・9%から48・5%へ激増したとして、「それでもなお労政審に報告する必要がないと居直る厚労省は、命にかかわるデータを何と思っているのか」と批判しました。
さらに、高橋氏は、同法案が「残業代ゼロ制度」を導入し、過労死ラインを合法化する点を指摘。労働時間規制を適用しない労働者をつくり、年104日さえ休ませれば48日間24時間連続勤務でも違法にならないとして、「業務量には裁量がなく、長時間労働に追い込まれることは明らかだ」と指摘しました。また、「単月100時間未満、複数月平均80時間という過労死ラインまでの残業は、絶対に認められない」と述べました。
最後に、高橋氏は、労働法制を「岩盤規制」として、産業競争力会議や規制改革会議などが決めた方針を、厚労省の頭越しに労政審に押し付ける安倍政権に「『働き方改革』などと語る資格はない」と強調。労働基準法は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならないと述べ、「本法案は歴史を70年後戻りさせる大改悪だ」と批判しました。