新桜ケ丘の中村雅雄さんがこよなく愛するスズメバチを50年にわたり追い続け、フィールドの観察を重ねてきた自らの体験を「スズメバチの真実」(定価2,000円+消費税)として出版されました。
「タウンニュース 2018-8-30 保土ヶ谷区版から引用)
新桜ヶ丘に暮らす中村雅雄さん(70)がこのほど、50年に渡り追い続けたスズメバチの生態や習性などを多くの人に知ってもらい、事故を回避するためのヒントなどをまとめた新著「スズメバチの真実〜最強のハチとの共生をめざして」が八坂書房から出版された。
60歳まで川崎市内で小学校の教員を務めた中村さんは「スズメバチ研究家」という顔も持つ。少年時代から昆虫好きで、中学2年の時に海水浴で訪れた鎌倉の海岸の海の家でハチの巣を発見。元来の「好奇心」から巣の採取に挑戦するもハチの攻撃を受けた。「巣の中はどうなっているんだろう」。恐怖心よりも興味の方が上回ったという。
小学校教員となった22歳の夏、雑木林で見つけたのが「スズメバチ」の巣。これが人生の転機となった。維持活動を進める市民団体の代表を務めている仏向町の火薬工場跡地に広がる雑木林「カーリットの森」は格好の観察場所となり、長年同所で生活するスズメバチを追いかけてきた。
その後、調査活動は国内はもとより東南アジアなどにも広がり、これまでに専門書など5冊を刊行。研究人生は50年に及び、スズメバチ研究の第一人者として知られる存在でシーズンになるとマスコミからの取材依頼が相次ぐ。自宅にはこれまで採取したハチの標本や大きな巣が数多く並び「スズメバチ博物館」のような雰囲気だ。
「生態や習性知って」
新著では横浜市内の家屋の天井裏で直径53cmの巨大な巣を採取したり、少しの油断からハチの襲撃にあった失敗談など、これまでの研究人生のエピソードや世界各地のスズメバチを紹介しているほか、ハチが発する攻撃のサインや刺された場合の対処方法、木酢液を使った忌避剤などを写真やイラストを盛り込みながら解説している。
中村さんは「スズメバチは『殺人バチ』なんて言われて悪者のイメージがあるが、その生態や習性に対する基本的な知識の無さから引き起こされる事故が多い」とし、「悲しい事故を繰り返さないためにもスズメバチの本当の姿を知ってほしい。生態系を維持し豊かな自然環境を守るために、一方的な駆除ではなく共生する視点がいま求められているのではないか」と話す。書籍に関する問合せは(株)八坂書房【電話】03・3293・7975へ。